データ作成以前のプロセス4色と特色の違いについて
2014/03/22 Illustrator 色・スウォッチ
数年前初めてオフセット4色印刷に出した時の感想と、
プロセス4色と特色の違いについて思ったこととかを書いてみます。
データ作成方法以前の超初級の内容です。長いです。
はじめての4色印刷
デザイナーさんが初めて自分の作品が刷られたものを手にして感動したというエピソードはよくありますが、私は逆に、印刷物を手にしてちょっとがっかりした方です。
自分のレイアウトや色合せの未熟さはここでは棚に上げ、印刷の色が思ってたのとなんか違うなあという微妙な期待はずれ感がどこから来たのかを掘り下げてみようと思います。
(私のデザインセンスはともかく印刷はきちんとして貰ったので、印刷事故の話では無いです。)
印刷されたものを見ての一番のがっかりポイントは、広めの面の薄いピンク(M15位だったか)がおかしいこと。
なんだかぼけている?紙の白い地色が隠れてない?存在感が無い?という印象。
薄いピンクは4色印刷では当然ながらアミ点の、点々のドットで表現されたマゼンタインクの色です。
ちなみに印刷結果はチャート通りでした。では何をがっかりしているのか。
データを作成している時に、ディスプレイでは薄いピンクは滑らかに均一に見えました。
大雑把に紙のプロセスカラーチャートを見たりしましたが、濃さが合うことだけ見てディスプレイに戻る。そしたらちょっとの面積しか無いカラーチャートよりディスプレイのイメージの方が断然強くなってしまいました。
それまで小学校以来色といえば絵の具の透明度をコントロールするやり方(白や水で伸ばして明度を動かす)を一番に思い浮かべることもあり、ピンク部分は私の頭の中で都合良くある部分は白混じりのぺたっとしたペンキの様なピンクに、ある部分は透明感あるピンクへと知らず知らずのうちにイメージを足していたようで。
結果、印刷物を見た時期待していた色とどこか違うなという印象になりました。
4色印刷の色は広い?狭い?
その後、それまで正直印刷物についてほとんど考えたことが無かったので身の周りの雑誌や中吊りなんかを見直してみることにしました。
そして
・私の期待するぺたっとした薄いピンク色の印刷物も存在する
・しかしそれは特色印刷のもので、4色印刷では出せない
・4色印刷で出せる色の範囲は狭い
ということにやっと気づきました。
さて、Illustrator本の解説は大体まずは4色印刷を覚える、特色は付加価値、みたいな感じで書かれている気がします。だから読み続けていると印刷物=4色印刷みたいな気分になってくる。デザイナーの仕事として4色印刷の案件が多いしまずは4色の仕事が出来ないとというのに異論はありません。
でも特色印刷の特徴、
☆単色ごとのインクで色を決める
☆蛍光、金銀、メタリック、パール、鮮やかな色など面白い色がある
ことから
・長期間同じ色を出す必要のあるロゴマークなど繰り返し使う部分に使われる
・大量ロットの色ムラの管理が楽なように大量生産のパッケージなどに使われる
・コスト的に版数を減らして大量に刷るチラシなどで使われる
・雑誌の表紙やポスターの一部などの目を引く必要があるところで使われる
ということを加えて考えると。
↓
デザイン側でない普通の人にとって、普段コンビニなんかでよく見るお菓子の箱や雑誌の表紙(書籍でも読むより眺める要素が高い部分)や、おっと思うような変わった派手な印刷物は普通の白い紙+4色印刷ではないことの方が多いんではないか、つまり
↓
印刷初心者が印刷物に期待する色域は、
初めの時点で4色印刷よりかなり広い
のではないかなと。(私だけ?)
むしろ分からないのはどれが4色で刷られているか、どれが4色で出ない色なのかというボーダーライン。
そこで、それまで
[4色印刷が標準、4色に特色を足してより広い色表現に]
と考えていたのを止めて、
[4色+特色印刷(特殊加工なども)=よく見る印刷物、4色印刷=出ない色もわりとある]
というように思い切って考え方を変えてみることに。
それから印刷の本などで
「プロセスインクは4つのインクを混ぜることで
写真のような無限とも思える豊かな色が再現でき~」
みたいな文を読んでも、真に受けすぎて
『ということは印刷機ならこの金色もあの印刷物(箔押し)や
あの印刷物(特色金)みたいに仕上がるかな?』
みたいな実情に合わない夢というか勘違いをしないようにしてみました。
4色だって分かってても、ついついディスプレイを見てるうちに頭のなかのデザインはキラキラした仕上がりになるような錯覚をしてしまうので。
金色と言ってもまあ、今回は4色だから濁った黄色というかベージュ?だからその中で上手くやろう、みたいに。
というわけで
何がなんだか分からない私みたいな印刷初心者は、
4色印刷は普段目にしている印刷物に比べて出ない色もわりとあるよねっていう、
まず光る金銀は無理、蛍光は無理、白を混ぜたような色は無理…というように
自分の思ってる色域を、はじめにぐっと狭める方向から考えたほうが
分かりやすいんじゃないかなあ…と思った、という話でした。
おまけ:どれが特色でどれが4色印刷かを見分けるには
どれが4色で刷られているか、どれが4色で出ない色なのかというボーダーラインは
チャートを確認するのと、あとチラシとかの周りの印刷物をこれは4色、これは4色に特色金、これは特色2色…みたいに振り分ける練習すると見えてきやすいかな?と思います。
非常に大雑把な見分け方
・人の写真が入ってる=4色印刷
・女性ファッション誌の表紙=4色(写真)+特色(文字)
・アミ点がどうなってるかじっと見る
みたいな感じ?あまり自信がないけども。
でも印刷の知識がある人は、まずこんな悩み方をしないのかもしれない。